山岳渓流の密やかな愉しみ(南会津にて)
泥濘んだ林道をゆっくりゆっくり1時間ほど登り、やっと目的地に到着。

白い底石、勾配は緩く浅めでフライフィッシング向きの渓流。
両岸は河畔林がトンネルを成し、透明な流れには木漏れ日が適度な陰影を作り出している。
ロケーションの点では、私の大好きな穏やかな渓相と言える。
こんな美しい川で一人ロッドを振って、釣り上がった。
人の気配を感じると、足元の岩陰からワラワラとイワナ達が上流へ走る走る。

釣れるのは全てイワナ。
サイズは7寸(約21cm)クラスが多いが、ここのイワナは白い底石に紛れ込むように色白。
この白い妖精のような美しいイワナたちに魅せられた。

梅雨の終盤だが、涼しくて快適。
岩に腰を下ろしておにぎりを頬張り、お茶を飲む。
水辺の丸石の上部、帽子をのせたような苔草をクリアな水音が包んでいる…

フライフィッシングはこんな密やかな出会いを含め、トータルで美しく愉しい。
今回の南会津釣行は、とりわけ記憶に鮮明に残る幸せな日々だった。