残照…

朝の通勤電車でFacebookを読んでいると突然の訃報記事が目に飛び込んできた。

【訃報】2020年1月30日朝、作家の田渕義雄さんが永眠された。

田渕義雄
1944年東京生まれ。作家。
1982年、八ヶ岳に程近い金峰山北麓の山里に居を移し、作家活動を続ける。
自給自足的田園生活を実践して孤立無援をおそれず、自分らしく生きたいと願う人々に幅広い支持を得ている。また園芸家、薪ストーブ研究家、家具製作者でもある。著書に、「森からの手紙」「山からの手紙」「川からの手紙」「21世紀の自然生活人へ」「森暮らしの家」「フライフィッシング教書」「バックパッキング教書」「寒山の森から」「薪ストーブの本」「アウトドアライフは終わらない」、など多数。

田渕さんの著作はいくつも拝読したが、とりわけ『フライフィッシング教書』にはお世話になった。

『フライフィッシング教書』〔1979年〕

1980年からの255MGフライリールの開発の時期、FF関連書籍を読みあさったがこの教書が最もしっくりきた。また、文章も秀逸であったと思っている。
迷えるFF初心者に愉しい釣りの世界を授けてくれ続けた座右の書であった。
深夜、枕元のライトをつけて繰り返し繰り返し読んだものだ。
森の中を流れる美しい渓流で元気なイワナを釣り上げる妄想は駆け巡リ、そのまま幸福な眠りに落ちたのだった。

そしてリールが製品化されてワクワクしながら実釣に出かけては無残にボーズをくらっていた日々。
いつかこの教書のシーンのようにきれいなマスたちと出会いたいと熱望し、奥多摩に出かけてついにヤマメを、中禅寺湖では宝石のようなヒレピンのニジマスを、氏のHome riverである金峰山川にも出向きイワナを釣らせていただいた。
教書のシーンをなぞることでフライフィッシングを理解し我が物としたかったのだ。

あれから40年。
このところ氏のことを思い起こすことはなくなっていた。
遠い過去のこと、残照。
氏は、ずっと自給自足的田園生活を実践し続けた“本物の男”であった。

今の自分があるのは間違いなく田渕氏のおかげであったと感謝しております。
ご冥福をお祈り申し上げます。

※氏の写真は、薪ストーブのファイヤーサイドのWebサイト内の「森からの便り」からお借りしました。